« October 2004 | Main | December 2004 »

2004.11.17

■周傳雄●貫禄あふれる「落ち着いたゴージャス」■

ASIEN第224号

周傳雄《男人海洋》 “情歌教父(ラブソングのゴッドファーザー)”というものすごい異名を持つ小剛(シァオガン)こと周傳雄(スティーブ・チョウ)。学生アイドルとして出発した彼も今年でデビュー十五周年。日本での知名度はあまり高くありませんが、シンガーソングライターとして、プロデューサーとして、数多くの楽曲をさまざまなアーティストに提供しています。ざっと挙げれば陳慧琳(ケリー・チャン)の《記事本》・那英(ナー・イン)の《出賣》・周華健(ワーキン・チョウ)の《有沒有一首歌會讓你想起我》・阿杜(アドゥ)の《哈囉》・任賢齊(リッチー・レン)の《再出發》・5566の《我難過》……と、ベテランからアイドルまでその守備範囲の広さに驚かされます。

 その彼が最近精力的に「自作自唱(?)」に取り組んでいます。昨年秋にそれまでの集大成アルバム《Dubbing 情歌教父周傳雄1987-2003》を発売、さらにこの十一月、新旧の作品を取り混ぜた《男人海洋》が発売になりました。今回のアルバムは二枚組。一方には新曲ばかり十作品が、もう一方にはこれまでの代表作から十二曲が“LIVE版”という形で収められました。《男人海洋》というタイトルについて周傳雄は、愛情のためにはすべてをなげうつ男性の心情を表しているのだと説明しています。「男は海のように温かくて広々とした心を持っているべき。相手のことを考え、のびのびと羽ばたけるようにしてあげられなくちゃ」。さすがベテランらしい貫禄が漂いますな。

 “情歌教父”というだけあって、周傳雄の楽曲はどれも基本的にラブソングですが、ポップス調あり、バラードあり、ソフトなロックありとバラエティ豊か。しかも、どれもが周傳雄らしいメロディアスでゴージャスな雰囲気。とはいえそこはベテランの貫禄なのか、「落ち着いたゴージャス」とでも呼びたい、安定した彼の曲作りを堪能できます。新曲の中では、彼の歌唱力(特に高音)がよくわかる『異世界』や『失眠的夜』、この人には珍しい(らしい)ラップの聴ける『愛的告別式』(といってもかすかで控えめなラップなので注意していないとわかりません)、台湾語の『春天的花恁攏無開』などが特におすすめ。(銭衝)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.11.12

■五月天●メイキングVCDもうれしい5thアルバム■

ASIEN第223号

神的孩子都在跳舞 前回のアルバム『時光機』からちょうど一年、五月天(メイデイ)五枚目のニューアルバム『神的孩子都在跳舞』が発売から好調な売り上げを記録しています。五人のメンバーからなる五月天、その五枚目のアルバムということで思い入れもたっぷり、聴きごたえのある充実の内容になっています。

 少々変わったこのアルバムの題名は、日本語にすれば「神の子どもたちはみな踊る」。そう、これは村上春樹の小説の題名です。ヴォーカルの阿信(アシン)は村上作品のファンだそうですが、今回のアルバムは河口湖畔にあるスタジオで制作が行われるなど、日本とも縁の深い一枚となりました。

 アラビア調のイントロが印象深い異色のロック『孫悟空』、六十年代のロックをイメージした『小護士』、軽快なテンポでジョン・レノンやビートルズへのオマージュを捧げる『約翰藍儂』、“錯錯錯錯…(間違ってるよ)”と繰り返す歌詞が印象的な『カノン』風の『錯錯錯』などなど、今回も様々な手法で聴かせる五月天ワールド。特に台湾語で歌われている『拉圾車』は、アルバムの最後に“朋友版”と銘打たれたメンバー全員による別バージョンの合唱がついているなど、さまざまな工夫が凝らされています。

 また今回特に注目したいのが、ボーナスでついてくるVCD 。台湾を出発するところからはじまって、日本でのレコーディングの日々が収められた一時間にも及ぶ、これはもう一本のドキュメンタリー映画。メンバーの言葉を借りれば「自然に囲まれた、桃源郷のような場所で」、のびのびと創作に励む彼らの姿が楽しめます。

 自分たちで山のような楽器や機材を運び、日本に着いてからも高速バスやタクシーを乗り継いで河口湖畔までやってくる彼ら。バスを貸し切ったりしないんですかねえ? アジアを代表するビッグバンドに成長した今でも、どこか学生バンドのような初々しさ。この五枚目のアルバムに収められたそれぞれの曲にもそんな彼らの親しみやすさがあふれています。アルバム収録時のミニ写真集もついて、今回の五月天も買って損はありません。(銭衝)

| | Comments (4) | TrackBack (2)

■歐得洋●もうひとりの「覆面アーティスト」■

ASIEN第222号

OCEAN ASIEN第215号でご紹介した台湾の「覆面アーティスト」、no name。現在もCDショップでの売り上げが好調で、最近何本かのMVを加えた「豪華版」(金色に輝くジャケットで、見た目もまさに豪華!)が発売されました。巷ではやはり「あれは誰?」という声が大きくなっているようで、それに応えて(?)台湾のメディアが謎解きをしています。

 新聞の報道によれば、no nameは余憲忠(ユィ・シェンジョン)という人。三年前に《陽光果凍》というドラマに出演したこともあるのだそうです。こういうのは暴露しないでミステリアスなままにしておいたほうがいいと思うんですけどね。まあ、これもCDを売り出す側が仕掛けたプロモーションの一環かも知れませんが。

 もう一人、最近話題になっている覆面アーティストがいて、名前を歐得洋(オーシャン・オウ)といいます。林依晨(アリエル・リン)が主演したドラマ《愛情合約》で、彼女自身が歌ったエンディング《孤單北半球》という曲があるのですが、もともとこの曲を歌っていたのが歐得洋。こちらはまだ顔写真もプロフィールも明らかにされていません。

 オフィシャルサイトはここ。→ http://www.pushmusic.com.tw/

 最近Channel[V]などの音楽番組で歐得洋自身が歌う《孤單北半球》のMVがオンエアされています。本人はもちろん出演しておらず、CGアニメ。現在発売されているCD《北半球有歐得洋》は、CDショップで売り上げのトップを争う位置に着けています。このCD、もともと昨年リリースされていたものを、もう一度「新装盤」として発売し直したもの。ドラマのヒットにあやかってということかも知れませんが、このあたりはCDジャケットのデザインと合わせ、no nameほどのスマートでクールな感じにはやや欠ける気がします。

 このアルバムに収められたのは、プロデューサーもつとめている方文良(ニール・ファン)という人の曲を中心に十一曲。この方文良という人、周杰倫(ジェイ・チョウ)らに数多くの歌詞を提供していることでも知られる方文山(ヴィンセント・ファン)とは別人なんですよね、まぎらわしい(笑)。その他、《孤單北半球》や《幸福車站》など、代表曲のカラオケバージョンが三曲ついています。《幸福車站》は昔懐かしい「愛国→幸福」の切符をモチーフにした曲のようで、アルバムの歌詞集にも切符の写真や、それをもとにした詩などが載せられています。ううむ、かなり「メルヘンちっく」な作品作りが、歐得洋の真骨頂のようで……。(銭衝)

| | Comments (2) | TrackBack (2)

« October 2004 | Main | December 2004 »